2016年9月30日金曜日

ジャムの季節

生食用ブドウの収穫も一段落し、これからは加工の時期です。


ジャムの原料に適した条件として、酸味・糖度・香りがあるものを


選びます。


また見ただけで、ブドウジャムとわかるような色にすることも


大切です。




このブドウはスチューベン。色と甘さが適しています。






このブドウはバッファロー。色と香りが適しています。




このブドウは巨峰です。酸味と香りが適しています。


これらのブドウの他にマスカットベリーAも使います。


すべての原料を収穫した後、糖度・酸度・原料の状態を


考慮して配合を決めていきます。




(果樹・加工 櫻井直人)

キュウリの接ぎ木

2016年8月25日、秋に出荷予定のキュウリの接ぎ木を行いました。
なぜ接ぎ木を行ったかと言いますと…


キュウリ苗を直に定植すると土壌伝染性の病害に罹りやすい
           ↓
病害に対し抵抗性のあるカボチャなどに接ぎ、病害を回避する
(100%回避は不可能)。


この場合、接ぎ木の台となるカボチャを台木、キュウリを穂木と言います。
接ぎ木はキュウリのみならず、トマト・ナス・スイカなどでも
用いられる方法です。




こちらは台木であるカボチャ。キュウリより1~2日早く播種します。
(台木用品種なので実を食べても美味しくないようです)。




こちらは穂木であるキュウリ。播種後1週間。品種はフリーダム
いぼなし・多収性の品種です。


★接ぎ木方法


①カミソリを用いて台木と穂木を地際から切る(左が台木・右が穂木)




②台木の双葉の中心軸に先を尖らせた竹串を差し込む




③カミソリで穂木の双葉の下(胚軸)を細くカットする




④台木の竹串を抜き、その部分に穂木を差し込む




⑤この苗を培養土を詰めた72穴セルトレイに挿していく
 この時セルトレイは十分に水を含ませておく
(以上、神の手を持つ接ぎ木のプロ・本センター教員・北条先生による実演でした)




⑥このセルトレイを湿度100%の状態にした養生BOXへ入れる


この接ぎ木方法は台木・穂木ともに根を切る、断根挿し接ぎと言う方法です。
この状態で約1週間経つと台木から発根してきます。


その後1週間ほど養生させ、ハウス・温室に定植する予定です。


(蔬菜作物 山崎)








刺されると痛いです

お彼岸も過ぎ朝夕だいぶ涼しくなってきましたが、少し涼しくなったとは言え、まだ樹木にはいろいろな害虫が発生する時期でもあります。

現在フィールドセンター内で発生しているヒロヘリアオイラガは、イラガという 「ガ」 の幼虫ですが、イラガは毒棘を持っており、その棘に触れると 「ビリビリ、チクチク」 と激しい痛みがあります。
別名 「デンキムシ」 とも言います。私も今までに剪定作業中、何度か刺された事があります。

ヒロヘリアオイラガは外来種で、もともと西日本地方に多く見られた様ですが、近年関東地方でも見られる様になり、当フィールドセンターでもここ数年で良く見られる様になりました。

被害樹木はサクラ、カエデ類、カシ類、ヤナギ類、ケヤキ、キンモクセイ、カキ、ナシ、ウメ、ザクロなど多くの樹種に発生しますが、当フィールドセンターではこの他、西洋ベニカナメモチ‘レッドロビン’、カツラ、クロガネモチなどにも発生しています。今年はサンゴジュにも発生しました。


■カキノキに発生したヒロヘリアオイラガ


若齢~中齢幼虫期は集団で生活し、葉裏に固まって葉を食害します。
葉肉だけを摂食するので、被害葉は網目状になります(2016年9月14日)。





幼虫は大きくなると単独で行動し、食害が葉全体に広がっていきます。
でかーっ!体長が30㎜位ありそう(2016年9月25日)。




ひどくなると、この様に葉が食べつくされ、ほぼ主脈だけが残った様になります。




灰褐色や茶色の硬い楕円形の繭を作り、その中で越冬します。
写真の繭はすでに羽化後の抜け殻ですが、穴の開いていない繭を見つけたら、冬期のうちに潰しておきましょう(繭やさなぎにも毒毛がある様なので、素手では触らない様、注意してください)。



■サンゴジュに発生したヒロヘリアオイラガ


(2016年9月25日)



ご覧の様に、イラガは葉の裏に潜んでおり気付かずに触ってしまう事がありますので、葉に食害痕がないか気を付けて見ておきましょう。

勇気のある方は触ってみては!!



(造園樹木担当 本間)

私のニガウリ栽培

現在、ニガウリをテーマに,当センターではどのような栽培方式が向いているかを検討するために栽培をしています。今年は5月6日に3号ポットに1粒づつ播種しました。



 発芽時のニガウリはこのような状態です。発芽後に発芽室に入れて、一週間で発芽が揃いました。(5月13日の状態)
 
 



 
 定植時の状態です。本葉4枚で定植しました。ニガウリは枝が茂るため、定植間隔は今回は2mにしました。(5月27日の定植時の状態)
 
 




 キュウリネットに誘引します。普通に市販されているキュウリネットを使用しました。伸びる枝をキュウリネットに這わせます。(6月7日にキュウリネットを張った状態)
 
 
 




収穫適期のニガウリです。栽培している品種(ゴーヤ節成)は果実の長さが25㎝~27㎝が収穫適期です。(収穫開始は7月8日から) 
 
 
 


このようにひとつづつ 袋詰めして出荷します。袋詰めしたニガウリは直売所に出荷して、単価は1袋100円で販売します。
 

(蔬菜作物 中村)

フィールドセンターの果実を守る網


フィールドセンターでは、色々な果樹が栽培されています。
熟した果実はもちろん、未熟なものも鳥たちの好物となります。
鳥たちから被害に遭わないよう、収穫するためには網が必要となります。
「防鳥網」と呼ばれ、果実を守っています。
特にナシ、ブドウ、イチジクなどは被害が深刻となります。
それぞれを覆っている、種類の違う「防鳥網」を紹介します。



本館屋上より、果樹園の遠景


















ブドウ、ナシ園の「防鳥網」は、主にカラスから果実を守ります。
材質はポリエチレン。
糸の太さを表す単位は、‘デニール’ といい、
2000デニール(20mm)と太い、黒色の網です。
網の目の大きさを表す、‘目合’は30mmです。
スズメやムクドリなどは入ってしまいますが、袋を掛けてあるので大丈夫です。
 


ブドウ園の網(ナシ園も同型)  
側面下半分の青い網は、
風を軽減する「防風網」です。














網のアップ画像

















ブドウ園のレインカット仕立ての「防鳥網」
屋根部分はビニールで覆っていますので、側面をカラスから守ります。
糸の太さは、かなり細めの、400デニール。
色はオレンジで遠目には分かりずらい網です。
目合は20mmの菱目です。
耐久性は弱く、一年のみの使用となります。




側面、地際のブドウを覆っています。
















オレンジ色の細い網です。

















イチジクの屋根掛け栽培の「防鳥網」は、屋根部分をビニールで覆っていますが、全面を網で覆います。
糸の太さは750デニールですが、特殊な編みこみで丈夫です。
目合は6mmと細かく、「多目的防災網」とも呼ばれ、
鳥のみでなくカメムシや雹などの被害も防止できます。
イチジクではスズメバチ被害が深刻なため、侵入出来ない細かい網としました。




全面を覆った白い網
















細かい網です。




 











これらの網は収穫が終わり次第、収納もしくははずして降雪に備えます。
目立ちませんが、大切な資材です。


(果樹加工部 村田)