2017年7月7日金曜日

樹木の挿し木

ムシムシ、ジメジメの日が続き、梅雨らしい天気が続きますね。
今の時期は、樹木の挿し木の適期でもあります。

   挿し木とは、枝、茎、根など植物の一部を切り取り、挿し床に挿して不定根、不定芽を発生させ、独立した一個体にする繁殖方法の一つです。

   挿し木の利点は、母木と同一の形質の個体が得られ、技術的に簡便で、一度に多数の個体を殖やせます。また実生苗に比べて、生育、開花、結実が早いことなどがあげられます。
逆に欠点は、実生や接ぎ木苗に比べて浅根性になりやすく、寿命の短いものがあったり、挿し木困難な樹木もあります。

   挿し木の時期は、樹種により若干違いますが、一般に休眠期の3月~4月上旬、新芽が出揃った梅雨時の6月下旬~7月上旬、秋挿しの9月~10月に行います。
   挿し穂は、3月~4月の春挿しは前年枝、梅雨挿し、秋挿しは当年枝または前年枝を少し付けた充実した枝を使用します。
   挿し床は、赤玉土、鹿沼土、川砂、バーミキュライト、水苔などの用土を単用または混合して用いますが、保水性や排水性が良く、清潔な用土を使用してください。

別科造園樹木専攻の実習で行ったサラサドウダンで、挿し木の手順を紹介します。

(挿し穂の採取)今年伸びた充実した枝を採取します。

(穂木の調整1)おおよそ10cm~15cm位の長さに切ります。

(穂木の調整2)差し込む部分の不要の葉と、蒸散を抑えるため、下部半分から2/3位の葉を取り除きます。

こんな感じで葉を取ります。葉が大きな樹種は残った葉を半分に切り取ります。

(穂木の調整3)基部をナイフでV字にきれいに切り返します。

写真では分りづらいですが、両面を返し切りにします。

(穂木の調整4)基部を切り返したら水に浸け、十分吸水させます。

(発根促進剤)発根を促すためオキシベロンという粉剤を使用しています。
その他ルートン粉剤やオキベロン液剤などの発根促進剤があります。

(挿し床と挿しつけ)挿し床は、鹿沼土単用を使用しています。
粒が揃っていないものは、ふるいを掛け大きな粒を下に入れてください。
挿し床に挿しつける前に、基部にオキシベロン粉剤を付けます。

(挿しつけ)挿し床に下部3cm弱位をしっかりと挿しつけます。
挿しづらい時は棒などで挿し穂と同じ位の穴を開けて挿しつけます。

(その他の樹種の挿し穂)挿し穂の調整例です。
左からフェイジョア、ビックリグミ、ジューンベリー、ヒメウツギ、サツキ、ツツジです。

(挿し木後)挿し木後は、雨風の当たらない寒冷紗等で遮光した場所に置きます。
センターではハウス内のミスト装置がある場所に置きます。

(ミスト装置)タイマーでミスト(霧)を噴霧し、植物体からの蒸散を抑えてあげます。

今年は16樹種ほど挿し木しました。

後は、元気良く発根します様にと願うばかりです。

発根しやすい樹木は30日程で発根してきますが、少し根が伸びて落ち着いた頃の3か月後位に、それぞれ発根の様子を見て、またこのブログでご報告したいと思います。


(造園樹木 本間)