2017年6月29日木曜日

梅雨時の露地野菜

梅雨に入り、雨も多い季節ですが、本格的な夏も近づいています。
今回のブログは以前に紹介した露地野菜の近況を紹介します。
まずはサツマイモです。5月上旬~中旬にかけて枝を直接、植える畝(ベッド)
に挿します。夏、梅雨明けしてから、暑くなると、枝がグングン茂ります。

 これはサトイモです。4月下旬に種イモを植えました。サトイモも夏、梅雨明けしてから、暑くなり、かつ水分が多いと、地上部は1m以上に大きくなります。サトイモは水分を好む野菜で乾燥が厳しい時期には畑にかん水をします。
そしてネギです。定植後約一か月過ぎたところです。ネギの苗を定植するときは溝を掘り、その溝の中に定植します。そのため植えた部分が低くなっています。
これはジャガイモです。センターではジャガイモは3月中旬に種イモを植え付けて、6月下旬から7月上旬に収穫します。もうすぐ収穫です。ジャガイモは花が咲き終わってから2週間くらいから収穫できますが、完全に地上部が枯れてから収穫したほうが貯蔵性はよくなります。 
これはニンジンです。冬の2月下旬に種をまき、4か月が過ぎたところですが、ニンジンもそろそろ収穫です。このニンジンはよく出回っている「五寸ニンジン」です。



梅雨が明けると露地野菜の収穫が忙しくなります。その分、売店の出荷品目も増えて、賑やかになります。



                       (蔬菜作物  中村)





2017年6月22日木曜日

果樹の接ぎ木

 モモクリ3年、カキ8年・・・、
種を播いてから実がなるまでの
年数の例えですが

昨今、果樹の苗木のほとんどは
「接ぎ木」によるもので
2~3年で結実し
早々の食味が可能です^^



クリの雌花、後方は雄花




「取り木」「挿し木」など
果樹を繁殖させるにはいろいろとありますが
「接ぎ木」について少々・・・、



接ぎ木終了



まずは‘穂木’の保蔵です

休眠期に採取し
湿らした新聞などで包み
ビニールで密封
低温(冷蔵庫など)で保管しておきます



接ぐ枝を「穂木」(ほぎ)、「接ぎ穂」(つぎほ)などといいます


‘台木’も同じくらいの太さがあれば大丈夫

時期は台木の芽が動きだしたら適期です
接がれる側を「台木」(だいぎ)といいます


つぎに、よく切れるナイフを用意

今回のような‘切接ぎ’には
‘切り出しナイフ’を使います

よく研いでおきます



接ぎ木とは
穂木と台木の‘形成層’を密着させる技術です
接着面が平らになるように切るのがコツです


削った穂木は乾かないよう
水を張ったバケツに入れておきます


切断面外側よりおおまかに、表皮・形成層・木部となります


今回の穂木はりんごの‘M9長野’
台木は‘マルバ’です




台木を接ぐ予定の高さ(10cm)で切ります



クリなどは耐寒性を考慮し
かなり高い位置で接ぐ場合があります



穂木の断面に合わせ
台木を切り込み密着させます




仕上げのポイントは、固定です

接ぎ木用のテープでしっかりと固定します
動かないよう、
雨水が入らないよう、

穂木の頂部切断面には‘癒合剤’を塗布します


接ぎ木での‘活着’
台木と穂木との切断面に形成される
‘カルス’の癒合によってはじまります

活着していれば、しばらくして芽が動きます



接ぎ木の利点のひとつは
すでに生長している植物(台木)から
養水分の吸収能力のある根系を利用できるため
活着後の生育が旺盛となることです



現在では、接ぎ木用のテープがあり
接ぎ木は難易な技術ではありません

古(いにしえ)のテープが無かった時代
先人の苦労が想像できます



接ぎ木は苗木の繁殖のみでなく
病害虫への抵抗性を向上させたり
品質を向上させたり
いろいろな効果を期待できます

カキの品種、‘平核無’に‘大核無’を芽接ぎ






枝ごとに異なった品種の果実を着けたり
楽しみながらの利用もいいかと

(果樹加工 むらた)





2017年6月15日木曜日

メロン栽培 その③

メロン栽培、その③です。
前回のブログでは、定植後本葉12~13枚までの成長をお伝えしました。
その後順調に育ち本葉20枚以上となり、花を咲かせ始めました。


5月10日

 

写真左、縦に伸びている主枝の節に、上に向かって咲いているのは雄花です。
そこから写真右へ伸びている子蔓に雌花が付きます。
少し花弁の下が膨らんでいるのが分かりますね。
メロンは雌雄異花であり、子蔓の最初の節に付く雌花を着果させ、果実にします。

着果させるには、人工授粉をします。

方法は、まず雄花を取ります。 


花弁だけを取り除き、雄しべの葯を剥き出しにします。


その雄花を、雌花の柱頭に花粉を擦りつけるのです。


人工授粉するのが確実ですが、天気が雨で花粉が湿っている時、咲き始めてから
時間が経ってしまって花などは、上手くいきません。
また、1株に3~4花交配しますので、手間がかかります。


そんな時は、やっぱりミツバチに頼ってしまいます。
ミツバチは常に、咲いたばかりの条件の良い花を交配してくれます。

受粉に失敗した雌花は、果実となる部分が黄色くなってしまします。

5月15日

ちゃんと受粉された雌花は肥大し始め、すぐ分かります。


この株は3果も着果しました。
大きな果実にするために、1株1果取りにしますので、玉選びをします。

5月19日

残すのは、卵の形をした果実を選びます。
果実の成長は、まず縦から伸びて横に太ります。
この時期から丸い果実を選んでしまうと、形よく大きく育ちません。

5月22日

ひと回り大きくなりました。まだ縦長で成長しています。

5月26日

少し横にも太ってきたように見えます。

5月30日

果実の表面にネットが出始めました。
今回の品種「タカミ」は、交配後55日くらいが収穫時期です。
次回のブログでは、収穫の様子をご紹介出来ると思います。

さぁ~!あと1ヶ月後の収穫が楽しみです。

(蔬菜作物 榎本)











2017年6月8日木曜日

梅雨が来る前に

6月に入り、梅雨入りも近くなってきました。
この時期、果樹部門ではブドウの管理で大忙しです。
ブドウには、花ぶるいという、結実せずに花が落ちてしまう性質があります。
そこで、ジベレリンという成長調節剤で品質向上を行います。
品種によって適した濃度があるので、間違えないように調製します。
1回目の処理(花が満開の時、例外もあります)で結実と種無しを目標とします。
2回目の処理(花の満開日から10日後)果粒の肥大を目標とします。
ただ、開花の時期が一斉でないのと、天候や日程の都合でなかなかうまく実施することが難しいです。
センターで栽培しているブドウは、巨峰がメインですが、ほかにもいろいろなブドウがあります。
例えば、上の写真はハニービーナスです。熟すときれいな黄緑色になる甘さと酸味がちょうどよいブドウです。2回目の処理が終わったところです。
このブドウはサニールージュといいます。熟すと、名前の通り赤紫色になります。デラウェアの大粒版といったところでしょうか。これも2回目の処理が終わりました。
これはシャインマスカットです。花が満開後の様子です。1回目の処理が終わったところです。
黄緑色の皮ごと食べられるブドウとして人気があります。
ほかに、黒粒のバッファロー・赤紫大粒のゴルビー・赤紫のウィンクなど、いろいろありますので
次の機会にご紹介します。

櫻井(果樹・加工)

2017年6月2日金曜日

野菜の花

初夏を迎え、様々な花が咲く季節となりました。
蔬菜の圃場やハウス内も今の時期は花盛りです。
あまり見る機会の無い、野菜の花ですが
せっかくですので少し紹介したいと思います(いずれも5月20日撮影)。


ジャガイモ(ナス科)
品種は上の白っぽい花が「とうや」
下の少し紫がかっている花が「男爵」です。

カボチャ(ウリ科)
品種は「らいふく」
カボチャは雌雄異花の植物です。
写真だと分かりにくのですが
上が雄花、下の花の付け根部分(子房)が
膨らんでいるのが雌花です。

こちらはハウス栽培のキュウリ(ウリ科)
品種は「フリーダムハウス3号」
雌花の元に小さなキュウリができています。

ウリ科は一般的に雌雄異花ですが
キュウリは単為結果性のため
雄花がなくても結実します。

メロン(ウリ科)
品種は「タカミ」
メロンも雌雄異花。
上が雄花、下が雌花。
ハウス栽培のため、ミツバチで交配を行っています。
受粉後、着果したメロンの果実。
ずいぶん大きく生長しました。

トマト(ナス科)
上は「千果」(ミニトマト)、
下は「桃太郎ピース」(大玉トマト)

ナス(ナス科)
上が「千両二号」
下が「くろわし」
千両二号はスーパーなどで見かける
一般的なナス。
くろわしはへた部分が緑色になる
大型の米ナスです。

ピーマン類(ナス科)
上は「甘とう美人」
下は「京ゆたか」
京ゆたかは一般的なピーマン、
甘とう美人は京野菜「万願寺とうがらし」タイプの
細長い形をした品種です。
花だけだと見分けがつきません。

(蔬菜作物 山崎)