2017年6月22日木曜日

果樹の接ぎ木

 モモクリ3年、カキ8年・・・、
種を播いてから実がなるまでの
年数の例えですが

昨今、果樹の苗木のほとんどは
「接ぎ木」によるもので
2~3年で結実し
早々の食味が可能です^^



クリの雌花、後方は雄花




「取り木」「挿し木」など
果樹を繁殖させるにはいろいろとありますが
「接ぎ木」について少々・・・、



接ぎ木終了



まずは‘穂木’の保蔵です

休眠期に採取し
湿らした新聞などで包み
ビニールで密封
低温(冷蔵庫など)で保管しておきます



接ぐ枝を「穂木」(ほぎ)、「接ぎ穂」(つぎほ)などといいます


‘台木’も同じくらいの太さがあれば大丈夫

時期は台木の芽が動きだしたら適期です
接がれる側を「台木」(だいぎ)といいます


つぎに、よく切れるナイフを用意

今回のような‘切接ぎ’には
‘切り出しナイフ’を使います

よく研いでおきます



接ぎ木とは
穂木と台木の‘形成層’を密着させる技術です
接着面が平らになるように切るのがコツです


削った穂木は乾かないよう
水を張ったバケツに入れておきます


切断面外側よりおおまかに、表皮・形成層・木部となります


今回の穂木はりんごの‘M9長野’
台木は‘マルバ’です




台木を接ぐ予定の高さ(10cm)で切ります



クリなどは耐寒性を考慮し
かなり高い位置で接ぐ場合があります



穂木の断面に合わせ
台木を切り込み密着させます




仕上げのポイントは、固定です

接ぎ木用のテープでしっかりと固定します
動かないよう、
雨水が入らないよう、

穂木の頂部切断面には‘癒合剤’を塗布します


接ぎ木での‘活着’
台木と穂木との切断面に形成される
‘カルス’の癒合によってはじまります

活着していれば、しばらくして芽が動きます



接ぎ木の利点のひとつは
すでに生長している植物(台木)から
養水分の吸収能力のある根系を利用できるため
活着後の生育が旺盛となることです



現在では、接ぎ木用のテープがあり
接ぎ木は難易な技術ではありません

古(いにしえ)のテープが無かった時代
先人の苦労が想像できます



接ぎ木は苗木の繁殖のみでなく
病害虫への抵抗性を向上させたり
品質を向上させたり
いろいろな効果を期待できます

カキの品種、‘平核無’に‘大核無’を芽接ぎ






枝ごとに異なった品種の果実を着けたり
楽しみながらの利用もいいかと

(果樹加工 むらた)