2017年12月22日金曜日

マツの手入れ ~枝透かしともみあげ~

  5月のブログにマツの緑摘みについて紹介しましたが、もう一つマツの手入れで大事な作業があります。それは今の時期(晩秋の頃)に行う、もみあげという作業です。

  今の時期になると、春から伸びた枝が混み合って鬱蒼としてきます。また古い葉が茶色くなり見苦しくなって、このままにしておくと枝の内部に光がいかず、枝が枯れ込んできてしまいます。また鬱蒼としていますのでマツケムシなどの害虫が越冬しやすくなります。

  そこでもみあげといって、それぞれの枝に付いている下部の古い葉を1/2~2/3程度手でむしり取ってあげます。また混み合っている枝は枝透かし剪定を行いながら手入れをしていきます。枝透かし剪定は、枝がYの字になる様に、真ん中の長く伸びた枝を分岐している所から剪定してあげます。

  先日別科生の実習でタギョウショウ(多行松)のもみあげと枝透かしを行いましたので、下の写真でもう一度、方法を説明します。

作業前(手入れ前)のマツ(タギョウショウ)です。

だいぶ枝が混み合ってきています。また枝の下部の葉は茶色くなって見苦しいですね。

そこで茶色い葉はすべて落とし、枝の下部の葉を1/2~2/3程度むしり取ります(赤丸部分)。

下葉をむしり取った状態です。

混み合っている枝は、真ん中の長い枝を剪定します。

こんな感じで、Yの字になる様に枝を透かしていきます。


一本一本、全部の枝の枝透かしともみあげが終わったら、箒などで上部の枝に引っ掛かっている葉を落として掃除していきます。また樹皮が剥がれる所は剥がしてしまいます。

下の幹の部分も綺麗にして・・。

作業終了です。
枝の内部まで光が届く様になり、綺麗になりました‼
一番上の写真と見比べてください。


  樹皮を剥がすのは、アカマツの綺麗な樹肌を見せてあげる為でもありますが、ケムシなどの害虫が樹皮の間で越冬出来ない様にする為でもあります。

  タギョウショウはアカマツの変種で、幹の下部から枝が多数出て傘を開いた様な樹形になり大変綺麗なマツです。
  もみあげと枝透かし剪定は手間の掛かる作業ですが、それらを行うことによりマツらしい品のある姿になります。



(造園樹木  本間)